
親から「画家になりなさい」と言われて画家になった人はいるだろうか?
おそらく0%に近いだろう。
その理由は明確で「画家で生活していく事は困難」だからだ。
画家だけでなく、芸術家という広い分野で見ても当てはまる。
陶芸家や歌手、俳優など、芸術的センスが必要な職業は
必ず成功するとは限らない。
人によって「成功」の定義は違うが、
少なくとも、その職業だけで生活をしていく事ができるという部分に焦点を合わせた時に
100人いたら1人成功すれば良い方じゃないかと思う。
そんな不安定、不明確な世界へわざわざ送り出す親はいない。
■人間は通常安定を求める生き物
自分自身、親の立場になって気付くのだが、
自分の子どもは本当に幸せな人生を歩んでほしいと願う。
苦労しないといけないが苦労させたくない。
辛い思いはしないといけないが辛い思いはさせたくない。
親バカとかではなく、自分でも矛盾が生じている事は分かっている。
親の考えを押し付けずに、出来る限り子供の意見を尊重してあげたい。
僕自身が起業している為、何かに挑戦するメリットを知っている分
人と違う人生を歩む事に対しては、他の人と比べると抵抗は無い方だと思っている。
だが、安定した職業に就いて、安定したお給料をもらって、安定した生活をしてきた人にとったら
子供が不安定な職業に行くことを薦める親なんてほとんどいない。
8~9割の親が「良い大学に出て、良い会社に就職しなさい」と子供を洗脳する。
子供の時からそれを聞かされて大人になる為
子供は「それが一番良い人生を送る方法なんだ」と潜在意識の中に考え方が固着してしまう。
それ以外の選択肢を与える重要さを知らずに安定だけを求めてしまうのだ。
■画家になる人は「覚悟」がいる
今画家として活動している人。
もしくはこれから画家になろうと考えている人。
最初にも聞いたように親に画家になる事を進められた人はほとんどいないだろう。
それでも、画家になろうと決意した人は親の反対を押し切って
「覚悟」を持ってその道を選んだはずだ。
明日の生活がどうなるか分からないし、後悔するかもしれない。
それでも、絵を描く事が楽しかったり、その活動を通して得られる喜びや充実感が
その道に進む活力になっている人がたくさんいると思う。
辛い人生になるかもしれない。でもその道を選ぶのは
後から絶対に言い訳をしない「覚悟」が必要だ。
若いうちはまだ良いのだが、年齢を重ねてくるといろんな問題が出てくる。
結婚したり子供が出来るとお金が必要になってくる。
男性だと必ず仕事の話やお金の話が多くなるので、稼いでいないと肩身が狭くなったりする。
いろんなプレッシャーを抱えながら生活をしなければいけなくなる。
日本の現状、画家で成功している人はほんの一握りだ。
その現実は必ずいつか壁として現れる。
その分野に進む人は、この現実をしっかりと考えた上で決断しなければならない。
■画家はすばらしい職業
非常に厳しい事ばかり言ってきたが、それでも画家という職業はすごいと思う。
自分自身芸術関係の仕事をしている中で、こんなにもクリエイティブな
人の心を癒す事ができる職業は他には無いと思っている。
何も描かれていない真っ白なキャンバスに
人間の想像力だけで素敵な絵を描いていく。
そこにはメッセージがあり、人の心に直接訴えかけるような強い力を感じる時もある。
革命家は時代の流れを変えて、発明家は人々の生活を変えたように
芸術はその国の文化を変えた。
人の心に残る活動を仕事にできる事は本当に幸せだと思う。
いろんなジャンルや年齢や国の画家の方々とお仕事をさせていただく中で
一度は画家の仕事を辞めてしまった時があったり、
うまく描けなくて筆を置いてしまった時があったり、
辛い想いをたくさんしてきた人は多い。
でも、それを乗り越えてきた人たちの絵は見る人を魅了して
それがそこにあるだけで夢や希望のように前向きな気持ちになれる作品を創っている。
自ら創り出した作品が、たくさんの人を幸せに出来る。
芸術家とはそういう職業だ。
もし、今画家になりたいと一生懸命勉強している人や悩んでいる人
すでに画家として活動しているがなかなか前に進めずモチベーションが下がっている人
日本の環境の中で成功をしようと思うと実力だけでなく、運が必要だったり成功率を高める方法を知る必要がある。
すばらしい絵を描けるのに、日本の環境が邪魔をして生活が出来なかったり、活動していく事が困難になってしまい
画家を辞めてしまうのは本当にもったいない。
まだまだ力不足ではあるが、そんな画家の人たちの手助けができればと思っている。
この日本の現状を打開する為に立ち上げた会社だが、道のりはまだまだ険しい。
それでもいつか「画家」という職業が日本では当たり前の環境を実現させていきたいと思う。