
「画家とイラストレーターの違いってなんなの?」と言われて
起業しはじめた当初は応えられなかった。
両方とも絵を描く仕事なのは同じで、
そこには曖昧ではなく明確な答えがあるなんて
質問されるまで考えた事もなかった。
画家とイラストレーターは曖昧に入り交じる部分があるから
人によって解釈が違う事もあるかもしれないが
その部分についてある程度線引きしていきたいと思う。
■画家とは
画家は様々な画材を使って自分自身が描きたいもの
例えば風景や静物、生き物、空想の世界、抽象的なものなどを
自由に表現していく事が本質だ。
感性は人それぞれ違うから
その人にしかできない描き方や表現の仕方、
誰かから依頼されて描くのではなく、
自分自身の中にあるものを自由に描き
常にイメージを形にする為の探求心を持って自分の絵と対峙し続け
そのイメージによって見る人の感情(喜怒哀楽)を呼び起こす作品を生み出している。
感情のこもった作品が個展などで目に触れて多くの人に評価され
購入してもらう事で収入を得る事を仕事としている人の事だと思う。
■イラストレーターとは
イラストレーターは様々な情報を視覚化して一般の人達にも分かりやすく具現化する。
基本的にはクライアントから依頼があって成り立つもので
画家のように自分自身が描きたいものを形にするのではなく
クライアントの意向に合わせて形にする。
例えばゲームのキャラクターや会社のロゴ、ポスター、挿絵、
最初は言葉だけの世界からイメージを具現化して
大きさ、形、色、時代、世界観など誰が見てもわかりやすく表現。
依頼された内容に沿ってイメージ通りに形にし
双方が納得の上ではじめて収益が発生する。
商業的な用途として使われる事が多い為
一般の人達の目に触れやすいのもあり、職業として日本の中では認知されている。
■画家とイラストレーターの曖昧な部分
このような違いによって画家とイラストレーターは分ける事が出来ると思う。
じゃあ、画家はクライアントから依頼があって描く事は無いのか?
イラストレーターは自由な発想ではなくて、自分自身が描きたいものを描けていないのか?
など反発の声が聞こえてきそうな気がするが、
今回はあえて線引きをして一般的に画家とは、イラストレーターとは、
どんな仕事をしている人でどんな違いがあるんですか?と問われた時に
形式的に文章として認識しやすいように書いただけだ。
必ずこの画家とイラストレーターというのは交わる曖昧な部分があり
画家もクライアントからの依頼で自分自身のタッチや世界観は崩さずに
描いた絵を販売する事は当然あるだろう。
クライアントも依頼した画家のファンであり
その人が描く未だ見た事の無い作品を
自分だけの為に描いてくれる事に価値を置いている。
一般的な部分になってくると、イベントや街中で似顔絵を描いていたり
動物の絵を描いていたり、その場でライブペイントして直接依頼を受ける画家もいる。
そうした人達の中には当然イラストレーターも存在していて
両方が混在している部分になってくると思う。
一概にクライアントがいて依頼を受けているからイラストレーター
自由に自分の感性をそのまま絵にしているから画家
そんな言葉でまとめられるものではないのは理解していただきたい。
他にも曖昧な部分で両方が交わっている部分はたくさんあるが
細かく言い出したらキリがない。
画家もイラストレーターも誰かに何かを伝える伝道師であり
伝える場や方法が違うだけで「表現」という部分では同じだ。
だから、自分自身が「画家」と名乗りたい時は「画家」と言えばいいし
「イラストレーター」と名乗りたい時は「イラストレーター」と言ってもいい。
人や場所、環境、時代に合わせて自分を表現していく表現者として
肩書にとらわれずに発信していく事が一番大切な事だと僕は思う。