
大学を卒業して就職した会社で一番最初に配属されたのが沖縄のリゾートホテルだった。
新規立上げでオープニングスタッフとしてフロントのオペレーションの構築や荷物の搬入など
毎日目が回るようないそがしさの中、とても充実した日々を過ごしていた。
いざオープンしてからは試行錯誤の連続。
おもてなしという言葉はよく耳にするが実践するのは本当に難しい。
チェックインやチェックアウトの対応、業務を処理に追われて
目の前のある仕事をするだけで精一杯だった。
だが、いそがしい中でも出来る事はたくさんあり
その時共に働いていた会社の同僚、上司からたくさんの事を学んだ。
それはホテルで働くだけでなく、日常生活においても必要な知識ばかりだった。
なので今回は人生を良くする為のホテルのおもてなしについてまとめてみた。
■お出迎えですべてが決まる
ホテルで最初にお出迎えするゲストリレーションスタッフ。
車を誘導してスムーズにご案内しなくてはいけないが
チェックインの時間になると長蛇の列になるくらい一気に車がホテルのエントランス前に到着する。
沖縄の土地柄、旅行者は必ず車を利用する。
飛行機で到着してからいろいろ観光して、だいたい17時くらいからチェックインのピークを迎える。
長旅で疲れて到着しているお客様を出来る限りスムーズにご案内しなければならない状況で
1分1秒常に時間を気にしねければならない。
遅い事は罪だ。
どんな状況であっても素早く丁寧にご案内しなければならない。
チェックインにかかる時間も決まっている中、一組一組を大切におもてなしする。
その中でどうしても時間がかかってしまう場合は予め時間をお伝えして
それまでの時間をただ待っている時間にするのではなく
明日からの予定を聞いて、それに合わせてパンフレットをお渡ししたり時間の感じ方を変えたりする。
時間の感じ方が変われば、ただ待っているだけはなくなるので
お客様の負担を軽減する事ができるのだ。
このように一番最初のお出迎えの場面で出来る限り第一印象を良くする。
これは日常生活でも当てはまる。
第一印象が悪ければ、後から印象を良くする事はほぼ不可能と考えていた方が良い。
■目くばり・気くばり・心くばり
まず目の前の状況をしっかりと把握する。
そこに困っているお客様はいないかしぐさや行動を観察するのだ。
何か困っていそうなお客様がいたら話しかけて問題解決をする。
とにかく目の前のお客様に集中するように徹底した。
心をくばるという事は相手の立場にたって考える事。
気にかけて声をかけてくれると人は安心する。
もし、何も困ってなくても少し会話をして「楽しんでくださいね」と笑顔で見送る。
相手が嬉しい事があれば、自分も一緒に喜んで
悲しい事があれば一緒に共感する。
そんな当たり前の事が実はおもてなしなのだ。
だがそれは目くばり、気くばり、心くばりをしていないと出来ない。
普段からお客様だけでなく、自分の身の回りの人達にも同じ事ができれば
それだけでお互いの関係は良くなるだろう。
■会話をする事で相手に一歩踏み込む
お客様と積極的に会話をする。
それがたとえ世間話に終わったり、後に繋がらなかったとしても
とにかくコミュニケーションをとる事を忘れないようにする。
するとふとした会話の中からおもてなしのヒントを得られたりする。
例えば、「本日はご遠方からお越しいただきありがとうございます。
ご家族で沖縄にはよく来られるんですか?」
などの質問をしてみたりすると
「今回は父と母の結婚30周年の記念での旅行なんです」
といった感じで情報を得たりすると、それだけでおもてなしに繋がる。
そこからは記念写真を撮影してメッセージと共にプレゼントしたり、
レストランを利用するのであれば、サプライズでケーキを用意したり、
この旅行でより良い思い出を残していただけるよう精一杯おもてなしをするのだ。
そうした質問力というのも普段から役立つこと。
聞き上手とは質問上手だ。
相手の話を聞いて的確な相槌と質問があるから、相手は自分に対して好印象を抱いてくれるようになる。
■ホテルは泊まるだけで勉強になる
こうしたおもてなしはホテルや旅館に泊まるだけで勉強する事ができる。
今回例に挙げた3つはどれも当たり前の事ばかりだ。
だけど、その当たり前の事が出来ていないと人生を良くする事はできない。
当たり前の事程難しいのだ。
でも、それが出来てしまえば今よりももっと人間関係も良くなるし
楽しく毎日を過ごすことができるようになる。
それに気付いて実行する事が大切。
この記事をきっかけに少しでも人生を豊かにできるきっかけになれば嬉しく思います。