
起業する際に必要と言われるのが「人脈」である。
人脈があれば、販売経路を確保してくれたり、商品製作の会社を紹介してくれたりする。
今まで働いてきた業種と同業種もしくは関連した業種であれば
そこで培った横のつながりから人脈を形成する事ができるのだが
僕は今まで携わったことのない異業種の分野での起業だった為
芸術に関連している人たちが周りに全くいなかった。
芸術学校を卒業していたわけでもなく、絵画を描いた経験もない。
芸術に携わる人たちとの交流は0の状態だった。
■起業準備の時に言われた言葉
僕:「起業しようと思うんだ」
相手:「なんの仕事をするの?」
僕:「芸術家支援事業の会社を立ち上げようと思う」
相手:「芸術!?珍しい仕事をしようとしているね。人脈はあるの?」
僕:「人脈は・・・ない・・・」
相手:「大丈夫?どうやって人脈つくるの?」
僕:「足を使っていろんなところに訪問して営業していこうと思ってる」
相手:「難しいと思うよ・・・」
僕:「だろうね・・・苦笑」
起業する話をしたら、だいたいこんな反応をされる。
僕の中では、この話をする時点で商品の販売戦略やビジョンがあり
最初はそれを直接いろんな人たちに話をしていくしかなかった。
多くの人は起業なんかしたことなくて未知の世界。
しかも飛び込み営業をした人も少ないから、
今の時代に足を使って営業をしていくなんて無理だろうと思われる。
やったこともないのに、なぜか否定される。
たぶん、これから起業を考えている人たち全員に当てはまると思うのだが
起業当初は必ず「敵」が現れる。
「起業なんて無理だろ」
「うまくいくはずがない」
「そんなの売れないよ」
やる前から必ず否定的な言葉しか言って来ない人が出てくる。
その人たちはだいたい自分ではやったことの無い人たちばかりだ。
経験があって、しっかりとしたアドバイスをくれる人はほとんどいないと思った方がいい。
でも、自分自身もそうした言葉投げかけられる事を前提に話さないといけない。
起業家はメンタルアスリートという言葉があるくらい
メンタルがやられてしまう場面に遭遇する確率が高い。
そんな言葉にいちいち反応していたら身が持たないのだ。
それでも最初はストレスに感じてしまう事が多いかもしれない。
時間が経てば慣れてくるのだが、最初は我慢する事が多いと思うので覚悟が必要だ。
■飛び込み営業を選んだのは理由がある
話は戻るが、人脈が0(ゼロ)の状態からどうやって人脈を作ったかというと
先述でも話した足を使って営業をかけていく方法だ。
今の時代ネット環境があるんだから、そこから輪を広げていけばいいじゃないかと
思う人もいると思うが、最初の段階ではあえてそれはしなかった。
まず、芸術に関する知識やそれを販売している店舗の情報などを持っていなかったので
とにかく生きた声の情報が欲しかった。
また、地域の店舗の方に協力してもらうスタイルだったので、平日や休日などの客層や雰囲気を
身をもって体験したかったのだ。
実際に直接足を運んでいろんな人たちと話をしていくと、
その地域ならではの悩みや現状を聞く事ができる。
何度も足を運ぶとそれだけで顔見知りになっていく。
中には門前払いの冷たいお店もあるのだが、それはわかっていたこと。
とにかく、雑貨屋、服屋、飲食店、ギャラリーなどいろんなところで人に話しかけた。
それによって、芸術に関する知識や地域の現状を把握していく事が実際にできたのだ。
■営業は甘くない
これも覚悟していたのだが、飛び込み営業は甘くない。
門前払いのお店や話を聞いてくれても難しい顔をするお店がほとんどだった。
まったく契約に至らない。
コンセプトやビジョンに共感してくれたとしても
それが売れる売れないになってくると途端にシビアな視点に変わる。
当たり前だ。
どの店も生き残る為に必死なのだ。
それをいきなり来た初めて見る商品を、わざわざスペースを開けて置いてみようとはならない。
だったら最初から売れる見込みが分かっている商品を置いた方が利益の幅を把握しやすいからだ。
覚悟していたが、やっぱり精神的に辛いものがある。
朝から晩まで足が棒になるまで歩く。
断られ続けてお店に入って声をかけるのが怖くて店内を見まわすだけで出た時もあった。
一回声をかけて話し出すと1時間くらい喋ったりする時もあるので
とにかく体力が消耗していくのだ。
しかも、たくさん話して結果が出ないのだからなおさらだ。
画廊に直接行って画家さんに声をかけて、ビジョンを語るとほとんどの人が共感してくれる。
でもいざ契約となると一歩引いてしまう。
その時テンションを上げる事ができても時間が経つと「やっぱりやめとこう・・・」となるのだ。
でも、諦めずに何十店舗も声をかけていくと契約してくれるところも出てくる。
ある程度、自分のキャパの範囲で販売を開始できる段階までいくと
そこからSNSを使った戦略へ移行する。
店舗が増えすぎると対応しきれなくなってしまうからだ。
いずれは各都市で店舗を増やしていくのだが、それはまだまだ先のビジョンとしてある。
創業した最初の段階ではやる事が多いので少しずつ地盤を固めていく事に専念した方が良い。
■基盤をつくって後から楽をしよう
こうした地道な方法で人脈が0(ゼロ)の状態から横のつながりを増やしていった。
人脈がないなら作ればいい。
もともと無いと起業できないなんて事はまったくないのだから
これから起業しようと思っている人もそこは気にしなくて大丈夫だ。
今はSNSで人脈を作ろうと思えばいくらでも作る事ができる。
コミュニティはたくさんある訳だから、そこから広げればわざわざ飛び込み営業をする必要はないのだ。
僕はビジネススタイルを構築する上で実際に足を運んぶスタイルを選んだが
それも一つの方法というくらいに思っていてくれたら良いと思う。
仕事をしながら起業する為に営業をするのは大変。
家族を持ちながら時間を作るのは大変。
いろんな問題を抱えていると思う。
それでも、最初に時間をかけて基盤を作ってしまえば、あとはそこまで時間や労力をかけなくても
仕事がまわるようになってくる。
楽して起業しようなんて思わない方がいい。
しっかりと時間を費やして努力した人にだけ目標を現実化できる道が現れる。
それが現れればそこに一歩足を踏み出していくだけで次の道が次々と出てくるようになるのだ。
人脈が0(ゼロ)でも知識がなくても、起業する道がある事をあなたにも気付いてほしいと思う。