
日本の飲食業界の質は世界から見てもレベルが高い。
世界どこの国に行っても、これだけ安くて美味しい店が至る所にある国は無い。
チェーン店の割合よりも個人店の割合の方が大きく、その競争率は激しい。
このような状況になった背景には明確な理由がある。
■世界一参入しやすい
日本で飲食店を開業しようと思ったら、誰でも開くことができる。
まず、調理師免許がいらない。
料理を作る事ができたら免許無しで大丈夫なのだ。
それに加えて、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つを取得するだけでいい。
「食品衛生責任者」は1日の講習
「防火管理者」は1~2日の講習
これを受ける事が出来れば、それだけで飲食店を開くことができてしまう。
日本で日本語を理解できていれば、それだけで飲食店を開業できるのだ。
海外だともっと厳しい審査があったりする。
ここまで簡単に開業できる国は本当に珍しいのだが
それが、外食産業のレベルが上がった一番の要因となっている。
■おいしいが当たり前
今、日本の飲食店のどの店に入ってもだいたい美味しい。
本当にまずい店なんて数えるほどではないだろうか。
舌の肥えている人からするとまずい店なんてたくさんあるのかもしれないが
海外に行くと1食1食の料金は高いし、まずい店なんてたくさんある。
ただ大量に盛ればいいと思っているんじゃないかと思う店もそこら中にあったりするのだ。
それに比べると日本は500円以内美味しいランチを提供している店が
街を歩けば必ず目に飛び込んでくる。
安くて美味しいが当たりまえなのだ。
■情報が全て
これだけ飲食店がたくさんあると、どの店に行けばいいのか迷ってしまう。
そこでみんなが使っているのが、「ぐるなび」などの情報サイトだ。
消費者がその店の評価をできて、事前に店の雰囲気や料金帯、サービスの質、美味しさなど
様々な情報を知る事ができる。
レビューを見るとリアルな声を聞けるので、飲食店をさがす時には
ほとんどの人が必ずと言っていいほど利用するのでないだろうか。
その情報からどの店が美味しいかなどを判断している為、
事前に良い情報が入ってくると人間はその店は良い店だという先入観を持つようになる。
必然的によほど予想外な味じゃなければ、美味しいお店という評価になるのだ。
情報によってその店の良し悪しを判断していると言っても大袈裟ではないだろう。
■日本の飲食業界のこれから
こうした状況から日本の飲食店業界はどんどん加速していき、入れ替わりが激しくなっていく。
今後も情報過多が続き、流行りに乗っていろんな店が出てくるだろう。
AIの発達が進むと従業員が全てロボットなんて事も遠い未来の話ではない。
プロの味を記憶させれば、常にクオリティの高い料理を低単価で提供できる。
そうなってくると、そこそこ美味しいだけの店は人件費のかからないロボットの飲食店に
金額で負けてしまい人が営む飲食店は減少していくだろう。
この10年~20年で外食産業は大きく変化する事は間違いないと思う。
さらに安く美味しい飲食店が増える事は消費者によっては嬉しい事だが
それによって雇用が減ってしまう状況は日本にとってはマイナス要因になってしまうのかもしれない。