
小学生から中学生くらいにかけてバス釣りにはまっていた事があった。
バス釣りというのは、ブラックバスという外来魚を釣っては元の池に戻すといった
キャッチ&リリースを繰り返すのだ。
普通魚は釣ったら持って帰って食べるイメージだが
ブラックバスは食べても美味しくない。
生命力や繁殖力も高く、大きいものになってくると60㎝を超えて成長する。
釣りをした事が無い人には釣っては戻すといった行動が残酷だと感じたり
意味が無いように感じて理解できないかもしれないが
一度魚を釣る感触を経験するとハマってしまうのだ。
■魚釣りは心理戦
ブラックバスを釣るのに必要なのは釣り竿とルアーだ。
ルアーとは簡単に言うと疑似餌の事だ。
魚の形をしたレプリカだったり、ワームといったゴムのようなもので出来た
芋虫に似ている疑似餌を使用する。
これは水の中に入れて糸を引くだけである程度動いてくれるのだが
実際それだけではなかなか釣れない。
魚がいそうな場所をさがし、そのポイントめがけてルアーを投げ
本当の小魚や虫のような動きを竿を巧みに使って表現しないとブラックバスは食いつかないのだ。
その時の気温や風、池の状態などからどこに魚がいるのか推測が始まる。
基本的には木の影などに潜んでいる事が多かったりする。
ポイントを決めたらルアーを投げ入れ、竿の先を小刻みに引いてみたり
動かすのをやめたりしながら魚の様子を見る。
当然こちらから魚は見えないので、イメージしながら食いつくのを待つのだ。
微妙にポイントを変えて探りながら投げては引いて投げては引いてを繰り返す。
本当に釣れない時は数時間釣れない時もあるのだが
そうした心理戦を自分の中で繰り返しているので、その作業だけで楽しい。
いざ魚が食いつくと一気に引いて針がブラックバスの口に食い込ませる事が出来たら、そこからが勝負になる。
思っている以上に魚の力は強く、力任せに引いてばかりだと糸を切られてしまう。
ブラックバスが疲れるのを待つように、押しては引いてを繰り返してようやく釣る事ができるのだ。
その釣れた時の感覚を一度知ってしまうとほとんどの人が好きになってしまうと思う。
■人間はみんな最初はルアー
こうした経験から子供時代からルアーを使用して魚を釣る難しさを知った。
これは僕たち人間にも当てはめる事が出来て
ルアーは単調に糸を巻くだけだとどんな魚でも食いつかない。
工夫して試行錯誤して、何回もトライして、魅力的な動きが出来た時にようやく魚が食いついてくれる。
僕たちもまず行動して失敗して試行錯誤をしながら何回もトライしていくうちに魅力的な人間になっていく。
単純に同じことを繰り返していても誰も気にも留めてくれないのだ。
そうしていく中で魅力的な行動が出来た瞬間に誰かの目に留まり思い描いた成功が手に入る。
ルアーと同じで動かなければなんの魅力も無いのだ。
最初から飛びぬけてすごい人などそんなにいない。
だいたいみんな同じくらいの能力で、どこに差があるかというと魅せ方に違いがあり、それが人との差になる。
魅せ方がうまい人は、同じ能力の人でも成功していくし
魅せ方がヘタな人は、同じ能力の人でも成功できない。
どんな事でも工夫して、いかに人の注目を集める事ができるかが大切だ。