
アートで起業すると決めて動き始めた時に一番言われた事が
「アートで起業して成功するのは難しいと思うよ」という言葉だった。
神戸という地域限定の話になってしまうのだが、実際に行動してみると
アート業界に入った事で気づいた事やアートでの起業が難しいと言われる理由などが
少しずつ見えるようになってきたので、僕なりにこの業界の事についてまとめてた。
■神戸のアート業界事情
「アート」というと幅広く、純粋に絵を描いている画家の方々や
ファッションやインテリアなどのデザイナー、WEBデザイナー、イラストレーター、
画商、ギャラリー、その他諸々いろんな種類がある。
どんな会社でもインターネットを活用していて広告とは切っても切れない関係だから
そうした宣伝関係もアートの一部だったり、細かく見ていたらいろんな形でアートが関係している。
なので今回は「絵を販売する」という部分のみに焦点を当てて話していきたいと思う。
僕は様々な画家さんに協力していただきながら
ロココロという絵画インテリアを販売しているのだが
起業した当初いろんなSHOPやギャラリーの方と会って話していく中で
神戸で絵を販売しているギャラリーの現状を知る事ができた。
場所貸しのギャラリーは神戸にたくさんあるのだが
絵だけを販売しているギャラリーはほとんどないという事や
どのギャラリーも経営状況はあまり良くないという事。
ギャラリーを経営している人の中で若い人はまったくいない為
今後継続して経営してくれる人が少ないという事など
あまり良ろしくはない現状だった。
これは神戸という土地に限定した話なので、他の地域はまた違った環境なのかもしれないが
こうした厳しい環境に置かれている状況だ。
■絵を販売する事が難しい背景
その背景として
「今は絵が売れる時代じゃない」
⇒絵を買いたい、もしくは欲しいと思っている人が少ない
「景気が悪い」
⇒昔は通りすがりで絵を買う人がたくさんいたが、今はほとんどいない。
「日本は絵を飾る習慣が無い」
⇒そもそも需要が少ない。
「宣伝しても人が来ない」
⇒芸術への関心がない。
などが挙げられる。
こうした背景から実際に経営されている人たちのほとんどが口を揃えて「経営が厳しい」と言っていた。
■どうやって経営を維持しているのか?
では、絵を買ってくれる人が少ない今の時代に
そのギャラリーの方々はどのようにして継続し続けているのかというと
「昔から絵を買ってくれる顧客が複数いる」
⇒高級な絵画ばかりを扱っているギャラリーになってくると
月に1作品売れれば維持できる。
そうした場所では固定の顧客が何人もいて、それぞれ気に入りそうな絵をおすすめして販売に繋げている。
「絵を売る以外の部分で収入を得ている」
⇒ギャラリーとして場所貸しや販売のほかに
額縁を販売したり、額装する事で収入を得ている。
「ギャラリー利用してくれる固定客を確保している」
⇒団体や絵画教室を開いている方と交流を持ち、
定期的に場所貸し利用してくれるような環境を作っている。
こうした昔からの繋がりを大切にしたり工夫しながら維持している為、新規参入する事が難しい。
■芸術を普及できる環境が神戸にはある
こうした話を聞いていくと、一般的に受け入れられる環境を作らなければ状況は変わらないと感じた。
そもそも絵に関心のある人達が少ないのであれば
固定の顧客や関心のある人達だけにアプローチするのではなく、
関心のない方々にも興味を持ってもらえるような取り組みが必要だと思う。
せっかく場所貸しできるテナントがあるのであれば
人が集まるイベントを定期的に開催するなどの工夫があってもいいのだが、
ある一部の人達しか集まらないような独特の雰囲気があり
一般の方からしたら敷居が高いようにどうしても感じてしまう。
コミュニティがあり、宣伝できる場所があるのであれば
それを最大限利用するべきだ。
神戸ではギャラリーが密集している為、
絵を知らない人たちの為にプチツアーのような企画をしてもいいのかもしれない。
それぞれが孤立しているから、地域全体で取り組んでいく事で
少しずつ芸術へ意識を向けてもらうきっかけを作れるのではないかと感じた。
今後は僕自身もそうした部分にも目を向けて「芸術の普及」に取り組んでいければと思う。